2017年10月24日

つぶやき そのⅢ

 その6:施設の最高年齢者の女性が大腿骨骨折で手術に成功リハビリもがんばり、自分のお気に入りの施設に帰れる日も定まり、長年診療で付き合った私どもは勿論従業員一同、その日を楽しみにしていました。尚、入居時から胃がんの存在があり、家族の希望で本人には告知されていませんでした。なぜか退院の報告があった後、腹部エコーの検査がなされ異常が見つかり他の病院へ転院となり、そこで漸次体力が低下して死亡となりました。
 寿命であったと考えたいのです:認知症がないと判断され大いにおしゃれしてやせてはいるが動きまわっていた(そのため骨折につながる?)彼女。帰りたがっていた部屋(彼女にとっては在宅)で最後を看取ってあげたかったというのがケアマネをはじめ関わりのあった皆の思いです(死亡の報告を受け取り残念がり、涙ぐむケアマネの顔)

 入院先への当科からの連絡が不十分であったと反省です:(未告知の胃がんが存在することの強調不足、何か問題あれば施設の主治医の私どもに相談していただき不要な検査を避けてもらう、一日でも早く施設に戻してもらうこと)など。

 施設での看取りについて、施設とかかわりのある医療機関は関心がない:施設のでの主治医の存在にも関心がない。
このことを理解したうえで施設を最後の棲家としたい患者さんを、入院させる場合には添書(情報提供書)にその旨を記載するように配慮したいと反省しながら、つぶやいてみました。
posted by sachi at 16:24| Comment(0) | 忠Dr | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月16日

つぶやき  そのⅡ

その4:看取りを経験すると施設が発展するようです
 施設の従業員は看取りの経験(死亡に立ち会う経験)がない素人ですから、不安感が強いのは当然です。
経営者‘施設長などの代表者が、より良い将来性のある施設になることを望むのであれば、まず看取りの必要性を認め、介入する医療機関と相談し従業員とも話し合うことです。
 實際にグループホームで不安だった看取りを経験し(寿命を迎えた利用者はもちろん、家族の施設への理解、医療機関関係者の関与などがありましたが)、従業員さんたちは自信が出来、その後施設のチームワークがよくなりました。短い期間でも住み慣れた場所で,慣れ親しんだ人たちに見守られて寿命をまっとうしていただくことは、何よりも良かったと感じたことでした(それまでの苦労が報われたと感じたのです)。
 小人数の施設だけでなく、多くの従業員が関与する施設でも看取りを経験してもらうたびごとに、従業員同士の信頼感も出てきて、段々と選ばれる施設へと成長していきます。

その5: 看取りの話をすると、嫌がる施設があります:看取りをすることは経済的には当初の特養の場面でも検討しましたように不利です。従業員も嫌がり集まらないどころか、辞めることもあります。 経営が第一なのは当然です;入居時に看取りの話はなるべく避けられ、もちろん強調されるようなことはありません
 ある施設で医療を担当していく上で家族との話し合いが大事と考え会合を設けました:施設責任者も同席してもらいました:その席上で施設のためにもなると判断し、看取りの話もしたわけです。入居時に最後はどうするのかについて施設と話してはいないようでした。当面の費用、介護、食事などの問題が大きいわけですから、話題は看取りまでたどり着きません。
しかし、私どもの経験不足・配慮不足でした; 面倒な話をしたと施設から嫌われ出入りが止められました。家族の中には話し合いを喜び賛同してくれる方も多かったようですが、つぶやき3で述べたように一旦入居すると移動は困難のようで、家族の希望は受け入れられません。このような私どもの経営にとっては失敗を経験した後も、懲りずにつぶやいています。「看取が施設の判断基準であると」
posted by sachi at 18:21| Comment(0) | 忠Dr | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月11日

つぶやき

 介護施設を選ぶにあたり参考になりそうなことを、今まで経験したことを思い出しながらつぶやいてみました。

その1: 特養は最後の棲家として、経済的な面から希望が多い施設です。そこでは臨終の場面(看取り)が多いと思われています。だが、 数年間看取りケースがゼロという信じられない特養もあるのです;そこでは死亡は全て契約している病院にお願いしているわけです。経済面で両方に得があります(特養は費用・人件費節減、病院は収入増加)
 時には施設との契約を理解していない病院の当直医が受け入れを拒否し、家族の怒りが爆発、特養と揉める場面も起こります。
特養建設時に作られた立派な霊安室は見事な物置に変更されて無駄になっているようです。

その2: 前回のつぶやきが「特養の経営陣&医療保険が介入できない特養の制度」について検討してみたい気持につながりました。
 特養の大部分は社会福祉法人?が土地を提供し設立できます;数年前に利益が増加し「内部保留」が多いことが報道されました(上手に介護保険を利用:入居者が入院などの期間、空きベッドをショートステイに利用、死亡時に医師の介入を回避し契約病院に搬送)(配置医制度に甘え改善は望まない、常駐の看護師だけでは無理なこと多く外来受診の頻度が高い:外来受診が無理な老健との制度の差)
法律上は必要のない常勤医師を採用しているような{心ある特養}に入居できるのは、運次第であります。
 日本医師会も特養での医師介入・医療保険介入には関心がなく、放置状態のようです。
 老健に勤務したことはないが、病院の維持には両者の並立が望まれます(介護保険成立後、老健を並立することが、病院の経済を助けてきています。老健の設立には約10%の補助金もあり政治家の口利きも大きく関与します)
 特養と老健についても、夫々の中身を理解することは施設選びにあたり大事なことであると感じました。

その3: 老人ホームを選ぶにあたり、まず費用を考えます:寿命の期限が分かりませんので各自の資金の余裕範囲での選択でしょう。地域により需要供給のバランスに差が激しくという地域差があります。費用で無理のない施設を選択しても、生涯住めるのか(看取り・受診・入院は)について、入居時に施設と詳しく話し合うことが大事です。一旦入居すると移動することはなかなか大変です(まして本人の希望は無視される場面が大きくなります:お世話する家族やケアマネも施設との間で面倒になることは、入居時と違いお世話したくないのが本音です。転居するのは大変ですから 施設の言い分が大きくなります(第三者の視点から見て、利用者の方が我慢することになります)
結論的には、施設の選択の一番大事なことは、「看取りをする意向があるかどうか」に尽きます(経営者が最後まで面倒見てくれるかどうかに尽きます)だから入居時に希望すれば死ぬまで面倒看てくれるかどうかの契約することが大事です。
posted by sachi at 15:28| Comment(0) | 忠Dr | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする